「ブラームスの2番を聴く」3・・・・・録音史
今回は録音史、1960年までの主な録音を紹介します。なお、放送録音やライヴ録音は除いてあります。
平林直哉氏の「クラシック名曲初演&初録音事典」によると、初録音はイギリスの指揮者ランドン・ロナルド(1873−1938)指揮ロイヤルアルバートホール管(ロンドン新交響楽団)。

・1913年   ロナルド&ロイヤルアルバートホール管
・1923年   セル&ベルリン国立歌劇場管
この2つが機械吹き込み録音

・1928年   ウォルター・ダムロッシュ&ニューヨーク響
・1929年   マックス・フィードラー&ベルリンフィル
・1929年   ストコフスキー&フィラデルフィア管
フィードラーはブラームスと直接接触のあった指揮者。ダムロッシュは近代指揮者の草分けハンス・フォン・ビューローの弟子。
ストコフスキーは史上初のブラームスの交響曲全集録音を完成しています。

・ 1936年  ビーチャム&ロンドンフィル
・ 1938年6月10日 トスカニーニ&BBC響
・ 1940年2月26日 ワインガルトナー&ロンドン響
・ 1940年2月26日 オーマンディー&フィラデルフィア管
・ 1940年4月9日  メンゲルベルク&コンセルトヘボウ管

交響曲第2番の演奏をブラームスに絶賛されたワインガルトナーは、交響曲全4曲の録音を残しています。オーマンディーは偶然にもワインガルトナーと同じ日の録音。

・ 1945年      モントゥー&サンフランシスコ響
・ 1946年      ロジンスキー&ニューヨークフィル
・ 1947年       ブッシュ&デンマーク放送響
・ 1948年       フルトヴェングラー&ロンドンフィル
・ 1949年       カラヤン&ウィーンフィル

フルトヴェングラーはロンドンフィルを振った唯一の録音。
カラヤンはウィーンフィルとしてこの曲の初録音(ライヴ、放送用録音は除く)
ブッシュにはドレスデン国立歌劇場管を振った1931年の放送録音もあります。

・ 1951年      ヨッフム&ベルリンフィル
・ 1951年      モントゥー&サンフランシスコ響
・ 1952年2月11日 トスカニーニ&NBC響
・ 1952年3月 3日 アーベントロート指揮ライプツィヒ放送響
・ 1953年2月15日 オーマンディー&フィラデルフィア管

オーマンディーは2回目のスタジオ録音でこの時期に交響曲全集録音を完成させています。若い頃にヴィオラ奏者としてブラームスの面前で演奏したこともあるモントウーも2回目の録音。ヨッフム、トスカニーニは全集録音。

・ 1953年6月     シューリヒト&ウィーンフィル
・ 1953年12月    ワルター&ニューヨークフィル
・ 1954年       ベイヌム&コンセルトヘボウ管
・ 1954年      ボールト&ロンドンフィルハーモニックプロムナード菅
・ 1950年代?    ハンス・ヴォルフ&オーストリア響
・ 1950年代?    ザンデルリンク&モスクワ放送響
ワルター、ボールトはいずれも交響曲全集録音。ワルターとボールトはステレオ期の再録音の全集もあります。ベイヌムはステレオ期にかけて全集を完成しています。
ハンス・ヴォルフ盤は米レミントンが50年代に発売した演奏。
ハンス・ヴォルフは架空の指揮者で、この演奏の実体はフルトヴェングラーの戦時中の録音という説もありますが、実はハンブルク生まれの指揮者で
晩年はシアトル歌劇場の指揮者でした。
ザンデルリンク盤はロシアメロディアでの録音。

・ 1955年ころ     ウォーレンシュタイン&ロサンゼルスフィル
・ 1955年ころ     トーマス・シャーマン&管弦楽団(部分、曲解説)
・ 1955年5月     カラヤン&フィルハーモニア管(ステレオ)
・ 1955年6月     ケンペ &ベルリンフィル  (モノラル)
・ 1955年12月    ミュンシュ&ボストン響   (ステレオ)
・ 1956年10月 クレンペラー&フィルハーモニア管(ステレオ)
・ 1956年12月   ベーム&ベルリンフィル   (モノラル)
・ 1957年2月     クーベリック&ウィーンフィル (ステレオ録音)
・ 1957年12月    ドラティ&ミネアポリス響
・ 1958年       ビーチャム&ロイヤルフィル
・ 1959年1月     サヴァリッシュ&ウイーン響
・ 1959年       モントゥー&ウィーンフィル
・ 1959年頃 ヴァント&ケルン・ギュルツニヒ管
・ 1960年       ワルター&コロンビア響
・ 1960年       クリップス&チューリッヒ・トーンハレ管

ウォーレンシュタインの録音は、アメリカの出版社Book of the Month社が出していた会員頒布用の「Music Appreciation Records」シリーズのモノラルLPで、社長のトーマス・シャーマンが指揮した曲分析とのセットもの。

カラヤンの録音はおそらくステレオ初録音。このカラヤンの演奏は試験的な録音のようでLP期ではモノラル録音の別テイクが販売され、ステレオ盤はCD時代になってから一般発売されました。
EMIのステレオ録音はイギリス本国では1956年のクレンペラーあたりから本格的になります。ベームは1956年録音ですがモノラル。グラモフォンはステレオ化が遅れていました。
モントゥーは3度目の録音、後にロンドン響を起用して4度目の録音をおこないましたがブラームスの交響曲のスタジオ録音は第2番のみです。(残り3曲のライヴ録音は存在。)
ステレオに以降すると、同じオケで全4曲を録音する指揮者が増えてきました。
ケンペ(2,4番はモノラル)、クレンペラー、クーベリック、サヴァリッシュ、ヴァント、ワルターが全集録音。




(2012.05.09)