「ヘルベルト・フォン・カラヤン(1908〜1989)」 カラヤンのブラームスの交響曲全集は4種類、 現在入手可能なカラヤンのブラームスの交響曲第2番は以下の10種類です。 ・ ウィーンフィル 1949年10月11月 スタジオ録音 ・ RAIローマ響 1953年3月26日 ライヴ録音 ・ フィルハーモニア管弦楽団 1955年5月 スタジオ録音 ・ ベルリンフィル 1963年10月 スタジオ録音 全集録音 ・ ベルリンフィル 1968年9月 ライヴ録音 ・ ベルリンフィル 1973年1月 映像収録 ・ ベルリンフィル 1974年11月 ライヴ録音 ・ ベルリンフィル 1977年10月 スタジオ録音 全集録音 ・ ベルリンフィル 1983年8月 ライヴ録音 ・ ベルリンフィル 1985年1月 ライヴ録音 ・ ベルリンフィル 1986年6月 スタジオ録音 全集録音 ・ウィーンフィルハーモニー管弦楽団 (1949年10月18、21,22,24,27日 11月8日 ウィーン、ムジークフェラインザール スタジオ録音) フルトヴェングラーやメンゲルベルク、カラヤンのように第二次世界大戦中にそのままドイツに留まって活動を続けた指揮者は、戦後にナチへの協力の疑いを掛けられ裁かれる立場となり、彼らの多くは演奏活動を禁止されることとなりました。 辣腕プロデユーサのウォルター・レッゲが演奏禁止処分は録音には該当しないという名目で始めた、カラヤンとウィーンフィルとの一連の録音中の一枚。 遅めのテンポの中でロマンティックにして緩急の幅の大きな演奏でした。 フルトヴェングラーの影響が大きいようにも思いますが、速めテンポですっきり進めていきたいカラヤンの本質と内部で葛藤しているようなもどかしさも感じました。 ウィーンフィルは戦争の影響が大きく往年の実力は未だ取り戻してないようです。 第一楽章最初から暗く重い雰囲気が支配しますが、主部は幾分早めて79小節あたりから極端に減速し第2主題に到達。再現部から軽やかな動きとなり、コーダ直前でテンポを落としてからのヴァイオリン群の刻みの強調が特徴的。ホルンの長大なソロの後、477小節のin temponopiu tranquilloではかなり遅いテンポ。 第二楽章ではウィーンフィルの特性を生かしたクラリネットの柔らかな響きが美しく、中間部70−75小節でのヴァイオリンのポルタメントはそのままオケの自発性に身を任せたかのよう。 第三楽章冒頭では、114小節のスタッカート指示をテヌート気味に押しつけるカラヤン独特の表現が聴かれます。 第四楽章はごく標準的なテンポ。主題導入部分で極端に弱めて長大なクレシェンドから徐々に加速しながらffに至ります。123小節からさらに加速しつつ展開部の205小節で大きなブレーキ。再現部の240小節のブリッジでの緊張感はお見事。 275小節からのヴァイオリンのsfをテヌートで押し付けるのには抵抗を感じます。 若さがストレートに出ているのでもなく音楽に停滞感が感じられ、老成しているのがインパクトに欠ける演奏でした。 ウィーンフィルも精彩を欠き、第3楽章の中間部など数年後のフィルハーモニア管に比べるとかなり聴き劣りがします。 今回聴いたのは英EMIから出ていたart仕様のCDです。響きに勢いのなさが感じられるのはリマスタリングで何かがきえてしまったのでしょうか。 (2014.01.13) |