・NBC交響楽団 (1952年2月10日 ニューヨーク、カーネギーホール スタジオ録音) 1951年から52年にかけてRCAが録音した一連の交響曲全曲録音中の一枚。 表情豊かな歌が全編に溢れきっちりまとまりながら毅然とした気品が感じられる名演でした。 張りつめた緊張感よりもリラックスのムードが漂う余裕の演奏。 ひとつひとつのパーツをしっかり正確に組み合わせながらも窮屈さを感じさせないのが、トスカニーニの芸の凄いところです。 第4楽章の歓喜の爆発はさすがの盛り上がりでした。 第一楽章冒頭から柔らかく優雅な開始。 力強く展開していく中で、ヴィオラとチェロの第2主題は1拍めのアクセントが優雅なワルツのよう。126−7小節のアクセント指示部分では逆にテヌートでいくのがユニーク。 293小節のチェロとコントラバスの主要動機を協調。296小節から自由にテンポを動かせながら音楽は展開していきます。448小節のオーボエ強調、トランペットの強烈なアクセントも印象的。 第二楽章は落ち着いた安息の世界。49小節から加速し大きな歌の世界が広がります。 第三楽章でもテンポは自由に動きリタルランドを譜面の指示より幾分早めに開始。 第四楽章は冒頭5小節めからのチェロとコントラバスのスタカットも雄弁。第2主題では気分を変えて荘重な大河の流れに移行していきます。 375小節からのコーダはさながら歓喜の大爆発。385小節で助走をつけるかのように幾分テンポを落とした後、猛烈なダッシュが始まります。397小節からのトロンボーンの下降音の掛け合いからの頂点でティンパニの轟然としたトレモロが痛快なクライマックスを築いていました。 以下はトスカニーニが異なるオケを振った交響曲第2番の3種の録音の楽章毎の演奏時間です。 1. 2. 3. 4. BBC響 14’13” 8’17” 5’23” 8’26” NBC響 14’38” 8’30” 5’28” 9’03” フィルハーモニア管 14’38” 8’20” 5’16” 8’50” 急速なテンポで一期に駆け抜けたBBC響とのライヴとは対照的な落ち着いた気分が漂うNBC響との演奏でした。 今回聴いたのはBMGビクターから出ていたトスカニーニ・ベスト・コレクションのCDです。モノラルで残響少なめながら細部は明瞭の聴きやすい音。 (2012.10.15) |