・ウィーンフィルハーモニー管弦楽団 (1962年9月8日 ルツェルン ライヴ録音 ) スイス、ルツェルン音楽祭のライヴ。残念ながら第2,3楽章のみです。 これはスタジオ録音を大きく上回る名演でした。 スタジオ録音よりもより自由にテンポが動き、緩急の落差も大きい演奏です。弱音の響きの実在感、音楽が大きく飛翔していく壮大さも見事。 第二楽章は冒頭から大きく弓を目いっぱい使ったたっぷり歌うチェロで開始。 中間部では急激に変化しその後の60小節めからの静けさとの対比も見事。 深い陰影、最後の神秘的な弱音も印象的。 第三楽章のオーボエソロはさらっと力の抜けた開始。 プレストに入る直前、30小節目からのフルート、オーボエ、クラリネットの掛け合いの部分の休符の間の取り方など絶妙でした。休符の静寂な部分がこれほどの雄弁さで存在するのにも驚き。 194小節主題再現部の、ヴァイオリンの神韻とした音はこの世のものとは思えない音でした。 この時点で80歳を超えたシューリヒトですが、衰えは全く感じられず、音楽に精気と若々しさがみなぎっています。 ウィーンフィルがシューリヒトの棒に懸命に追いかけている印象です。 これは是非とも全曲を聴きたいところです。どこかに残っていないのでしょうか・ 今回聴いたのはスイス、レリーフから出ていたルツェルン音楽祭の歴史的音源を集めたCDです。 適度な残響がありモノラルながら音は鮮明、多少ステレオプレゼンスもかけているようでした。 (2013.01.04) |