・ ベルリンフィルハーモニー管弦楽団 (1957年2月 ベルリン グリューネルワルド教会 スタジオ録音) ベルリンフィルとの1回目のスタジオ録音です。録音はオリジナルモノラル。 録音データは後の1960年録音と随分と混同されていました。 独逸的な重厚さを前面に押し出した演奏。演奏時間は再録音に比べて速くなっていますが、聴感上は堂々とゆったりとした印象です。特に第一楽章で顕著。 以下は新旧スタジオ録音の演奏時間の比較です。 第一楽章 第二楽章 第三楽章 第四楽章 1957年 13‘12“ 9’14” 8‘09“ 6’46” 1960年 13‘28“ 9’24” 8‘22“ 6’58” 第一楽章開始の遅く堂々たる2つの和音に続く力強いオケの響きはフルトヴェングラー時代のベルリンフィルそのものの音。 楽想の変わり目の間の取り方は再録音よりも長めでした。フォルテに至るクレシェンドの力強さに重厚さ感じさせます。コーダのコントラバスの暗い不気味な響きの上に乗るヴァイオリンの優美な音が対象的。 第二楽章コントラバスも深い音。再録音が一筆書きのように一挙にさらっと書き上げた印象なのに比べて、こちらは細心の注意を払って丁寧に演奏しています。75小節の第1ヴァイオリンの旋律の導入部分などかなり慎重です。 第三楽章は新旧録音の差が最も顕著に出た楽章でした。 小気味よい軽さの中でのふくよかな中間部。211小節めのfffの直前でテンポを落とし、ぐっと大見得を切るところなど再録音とは別人のようです。428小節の第1ヴァイオリンの8分音符の動きは実に精密。全体の中でのティンパニのバランス良い響きと出のタイミングが絶妙。 幾分速いテンポで飛ばす第四楽章は粗さを感じました。若々しいスピード感は魅力的です。174小節からわずかに加速。 シャープなリズム感とオケの鋼のような重い響きを前面に押し出した演奏でした。白熱した気分は、後のステレオ録音よりも出ていると思いました。 今回は50年代末に出た国内盤初出LP(東芝 HA1103)を聴きました。 録音された時点のフレッシュな音が刻印されたモノラルLPで、経年変化で劣化したマスターテープを使用した1960年録音の再発売ステレオLPよりも音は明快。 (2011.11.06) |