・ウィーンフィルハーモニー管弦楽団 (1959年3月9,10日 ウィーン、ソフェンザール スタジオ録音) DECCAの名プロデユーサー、ジョン・カルショウの手によるウィーンフィルとの一連の録音中最初の録音。 ウィーンフィルの個性を生かしながら、自分の主張を通すカラヤン一流のスタイルの名演でした。 第一楽章のストンと落ちる冒頭の和音に続く柔らかなウィンナオーボエ、ティンパニとコントラバスの一体化した響きはウィーンフィルならではの音。260小節から響きが渾然一体となり大きな塊となって聴き手に迫ります。330小節のイ短調からイ長調へ移行する部分はチェロとコントラバスを強調。 第二楽章の冒頭和音の消え入る寸前に入れ替わるヴィオラ以下の弦楽器の入りは絶妙。中間部に入る前の101小節めのチェロとコントラバスから微妙に減速。 150小節の第4変奏のピアノ指定はメゾフォルテ気味とし、183小節からのフガートではスタッカートを強調、今まで柔らかく推移していた部分を固めの響きで変化を付けています。 意外だったのは252小節めの1拍めに入るべきティンパニが、1小節早く251小節めの1拍めで叩いています。 スコアを見ながら聴かなければとても気がつかないほど違和感はないのですが、カラヤンの他のオーケストラとの演奏や、他の指揮者によるウィーンフィルの録音を聴いてみても、このようなことをやっている録音はありませんでした。 第三楽章では中間部の堂々たる威容が印象的。404小節で一瞬タメて2回目のAssai meno prestに突入。再現部では後拍を強調するなど前半との変化を見せていました。 同じ主題の執拗なまでの繰り返しの第四楽章では、力強さを保ちながらもリズムを微妙に崩していき、少しずつ音量とテンポを変化させていました。これは凄いことだと思います。 この時までのカラヤンは、キャリアの節目の重要な時期のレコーディングにベートーヴェンの交響曲第7番を取り上げています。 この録音の後60年代からは、カラヤンはドイツグラモフォンに移籍し、ベルリンフィルとの多量の録音を開始してカラヤン・ベルリンフィルの黄金時代を築き上げていきます。 今回聴いたのは、RCAのLiving Stereo と書かれた国内盤LPと、DECCA Legendsの外盤CD。 曖昧模糊としたLPに比べ、CDは優秀録音で鳴らしたDECCAらしいバランスの良い音でした。 (2010.02.20) |