「ベートーヴェンの7番を聴く」62・・・・独墺系の指揮者たち7 カラヤンその6

・ベルリンフィルハーモニー管弦楽団
(1978年1月28日、ベルリン、フィルハーモニーホール ライヴ録音)

2004年に、突然日の目を見た本拠地ベルリンでのライヴ録音。.
カラヤンとベルリンフィルが全力を出し切った時の凄さを思い知らされる名演でした。

1976年のスタジオ録音とは異なったスタイルの演奏です。実演と商業用録音とはっきり使い分けていたカラヤン。

異様な緊張感の中で始まる第一楽章冒頭はバラけていますが、ここで演奏者たちに火がついたようです。100小節あたりから強烈なクレシェンドを敢行、凄まじいダッシュが始まります。300小節めのオーボエソロの直前のフェルマータもほとんど無視で突き進み、弦楽器のアクセントも強烈で息詰まる興奮を盛り上げていました。

速いテンポで進行する第二楽章の張り詰めた緊張感漂うピアニシモ。第一変奏での鮮やかな強弱の変転、自己主張を繰り広げる管楽器たちをカラヤンは自然にドライヴしていきます。

第四楽章では、切れの良い包丁でザクザクと白菜を刻むような弦楽器のアクセントも凄まじく、ゴウゴウと唸る低音弦楽器群も強烈。317小節のティンパニにはクレシェンド付加していますが、これは他の録音では聴かれず、ティンパニ奏者の即興的なもののようです。

カラヤンとベルリンフィルとの息詰まる真剣勝負、近代オーケストラ演奏の極限を体験できる録音でした。

今回聴いたのはカナダPALEXAからのCDです。出所不明のライヴ録音ながら、良好なステレオ録音。なお、カップリングは1978年のルツエルン音楽祭での「春の祭典」で、こちらも聴いていて腰が抜けるような凄演。
(2010.04.11)