「ベートーヴェンの7番を聴く」64・・・・独墺系の指揮者たち8 カイルベルトその2
今回はバンベルク響とのライヴ録音を照会します。

・バンベルク交響楽団
(1958年       ライヴ録音)

カイルベルトが首席指揮者だったバンベルク響とのライヴ録音。ベルリンフィルとのスタジオ録音を大きく上回る演奏でした。
バンベルク響の渋く素朴な響きは、カイルベルトの芸風とベストマッチング。

第一楽章冒頭和音はティンパニが一瞬速く飛び出した後、低音がズシンと響きます。
89小節あたりから指揮者の気合がオケに伝染、140小節からのクレシェンドももの凄く、後半270小節からの加速で音楽は大きく燃え上がります。凄愴なクライマックスを築きながらも309小節での弦楽器の和音の移り変わりの美しさが際立っていました。
コーダの手前での一瞬の減速も絶妙。

第二楽章は淡々と進み、あえて重くなるのを避けているかのようです。次第に楽器が増した後の75小節からの大きな爆発が印象に残ります。
第三楽章も手馴れた余裕の貫禄。中間部は農民風の朴訥な表現。

第三楽章から休みなく第四楽章が始まります。最初はどっしり冷静であるものの、次第に音楽は熱を帯びていきます。14小節からのトランペットの後打ちことさらの強調が面白く、低音弦楽器群の控えめでいて着実な歩みがボディブローのようにじわりじわりと効き、知らず知らずのうちに大きな感動に導きます。
後半のスピード感と凄愴なクライマックスも見事なもの。

ずしりとした重量感とぶ厚い和音、フォルテの鳴りっぷりも気持ち良い雄大な名演でした。これぞ本物のドイツ音楽の真髄

今回聴いたのは、HOSANNAというレーベルが出した裏青の海賊盤CD−Rです。モノラルながら音は鮮明、楽章間のインターバルがリアルに記録されていて臨場感も充分でした。

(2010.09.16)