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「ラプソディー・イン・ブルー」を聴く11・・・バーンスタイン
今回はアメリカ生まれの大指揮者バーンスタインの演奏です。
バーンスタインにとって、同じロシア系ユダヤ人のアメリカ人作曲家ガーシュインの音楽は特別な愛着があったと思います。指揮者のキャリアのごく初期からガーシュインの作品を頻繁に取り上げていています。今回は2種の録音を聴いてみました。

・コロンビア交響楽団
 ピアノ:レナード・バーンスタイン
(1959年 6月23日 ニューヨーク・セントジョーンズホテル スタジオ録音)
ガーシュインの音楽はジャズなのかクラシカルな音楽なのか、どっちつかずの中途半端な印象を覚えるのは私だけでしょうか。
このバーンスタインの旧録音は、ガーシュインの音楽が普遍的なクラシカルな楽曲としての位置を決定つけた歴史的な録音だと言えると思います。
冒頭クラリネットとピアノのブルーなテンポの揺れは雰囲気満点。特にポツリポツリと、独り言をつぶやいているようなピアノソロの静謐さは素晴らしく、バーンスタイン自身が曲に深く陶酔していき、ゆっくりゆっくりまるで酔っ払いがフラフラとしているような部分もありますが、オケとピアノが一体となってスゥングする呼吸は実に見事。
ガーシュインの自演や他のジャズバンド版の演奏を聴いた後には、ちょっと立派すぎてガーシュインの意図とはかけ離れているようにも思えますが、ラヴェルやストラヴィンスキーに通ずるクラシック音楽の系譜の中にガーシュインを位置付けた、聞いていて実に説得力のある名演だと思います。
なおバーンスタインはグローフェのオーケストレーションに微妙に手を加えているようで、練習番号14から18までと、21から25までに大きなカットがあります。

・ロスアンジェルスフィルハーモニック
 ピアノ:レナード・バーンスタイン
(1982年7月 サンフランシスコデーヴィスホール ライヴ録音)
円熟期のバーンスタインのライヴ。バーンスタインは晩年になるにつれてテンポが遅くなり、曲によっては恣意的ともいえる肥大した曲作りに違和感を覚えることもありましたが、この再録音は旧盤よりもずっとすっきりした印象です。
よりシンフォニックで巨大な音楽になっていますが、違和感を感じさせないのは、
曲に対する深い共感があるからでしょうか。ピアノソロの美しさは旧盤以上の出来。
いつまでも終わらせたくないようなあまりにもゆっくりと歌うアンダンティーノは、自己陶酔の極致。これは旧盤でも多少感じたことですが、ここではガーシュインとグローフェの編曲を超越してしまって完全バーンスタインの音楽となっていました。
旧盤で聞こえなかったバンジョーも良く聞こえ、とにかく優れた演奏ですが、私にはちょっとガーシュインの音楽とは違うような気もします。
なおカットは旧盤と同じ。
(2004.03.04)
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