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「展覧会の絵」を聴く34・・・レイボヴィッツ
「ルネ・レイヴォヴィッツ(1913〜1972)」

ワルシャワ生まれ、9歳からヨーロッパ各地でヴァイオリンの演奏会を開いた大変な神童。
ウェーベルンとラヴェルに作曲、指揮法をモントゥーに師事。シェーンベルクやウェーベルンの紹介者として知られ数々の著書があります。指揮は一定のポストにつかず、50年代から60年代にかけて、リーダーズダイジェスト社にベートーヴェン交響曲全集をはじめとした数多くの録音を残しました。特にベートーヴェンは、ブライトコップ版の譜面から現在流行のベーレンライター版に通じる解釈を既に引き出している驚異的な演奏です。
「展覧会の絵」はロイヤルフィルを振った録音があります。

・ ロイヤルフィル
(1962年 2月6日  スタジオ録音)
ラヴェルの弟子だったレイヴォヴィッツが、リーダーズダイジェストの録音エンジニアであったケネス・ウイルキンソンと組んでRCAに残した録音。
このとき同時に録音された「禿山の一夜」は、ウインドマシーンまで加えた大胆な解釈とアレンジで大変な話題となりました。
しかしこちらの演奏は、カラフルで艶の有る「展覧会の絵」でした。もっとやりたい放題かと思いきや譜面の改変もなく、インテンポで通した即物的でスぱっと割り切った演奏。
リズムも冴え、オーケストラの輝かしい響きも聞き物です。
特に無表情な能面を見るような不思議な静けさが漂う「古城」、終始一貫した早いテンポで進む「ヴィドロ」が印象的でした。そして立体的で流れるように音のパレットが変幻自在の変貌を見せる「カタコンブ」は、ラヴェルの精緻なオーケストレーションの一大デモンストレーションです。フォルティシモの部分でも、各声部がレントゲン写真を見るように
精密に再現されるのは実に見事なものです。ロイヤルフィルのアンサンブルは、レイヴォヴィッツの要求に応えきれずに、部分的にラフな部分もありますが、個別のソロはなかなか聞かせます。
(2002.05.24)
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