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今回から、オーストリアの指揮者達を紹介します。 ヘルベルト・フォン・カラヤン(1908〜1989) 20世紀を代表する巨匠、ザルツブルク生まれ、ウルムの歌劇場の指揮者を皮切りに27才でアーヘンの歌劇場の音楽総監督(北原先生もここの総監督でした)。 1956年からフルトヴェングラーの後任としてベルリンフィルの終身指揮者に就任、その間ウィーン国立歌劇場、イギリスのフィルハーモニア管、パリ管の音楽監督をも兼任し、文字通り音楽界の帝王として君臨しました。 カラヤンの録音数は実に膨大で、第九は正規録音だけで、実に5種類のスタジオ録音と3種類の映像があります。 ウィーンフィル、ウィーン楽友協会合唱団、 S:シュワルツコップ、A:ヘンゲン、T:パツァーク、Br:ホッター (1947年11月 12月) 第2時世界大戦後、カラヤンがナチ関係者としての戦犯容疑のため、公開演奏を禁止されていた時期に名プロデユーサーのワルター・レッゲがカラヤンに提供した仕事で、ウィーンフィルとしては、ワインガルトナー以来の録音。 速いテンポの爽快でスピード感があり、アクセントを強調したダイナミックな演奏です。 主題が再現する部分でテンポをわずかながら落とすところなどは、未だドイツ的伝統的スタイルを見せている個所もあります。 当時の最高の歌手をそろえた独唱者も聞き物です。ホッターもクレンペラー盤ほどの不調はありませんが、冒頭部分で何ヶ所か楽譜を崩して歌っているのが、多少気になりました。合唱はテノールが突出気味でソプラノも音程不安定気味、これは問題があると思います。 譜面はブライトコップ版に極めて忠実で、これは録音年を考えると注目すべきことだと思います。ただバリトンソロのテーネーはG−Fに変えています。後のカラヤンの録音はこの部分に関しては全てF−Fなので、名歌手ホッターの主張にカラヤンが譲ったのでしょうか。 フィルハーモニア管弦楽団、ウィーン楽友協会合唱団、 S:シュワルツコップ、A:ヘンゲン、T:ヘフリガー、Br:ホッター (1955年 7月) カラヤンが残した4回のベートーヴェン交響曲全集のうち、第一回目全集中の一枚。 しなやかで生き生きとしたリズム、ウィーンフィルの演奏をより洗練させた、若き日のカラヤンの良さが出た名演です。所々に後のカラヤンに見られるテヌートの多用が第4楽章あたりで見られるのが面白いと思います。特に変幻自在のテンポの変化を見せる第2楽章は見事な出来。推進力溢れる第4楽章は独唱者が素晴らしく、テノールのヘフリガーがマーチ部分で快適なテンポに乗って、素晴らしい歌唱を聴かせます。 合唱は49年盤ほどの破綻は見せていません。しかし後のカラヤンからは想像できないことですが、全体としてのアンサンブルに多少ラフな部分もあり、オケと独唱者、合唱のタイミングがずれて進行する箇所があり、勢いで押し切った感もあります。
(2001.11.29)
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